秋の長雨とはよく聞きますが。
今年の秋は強烈な雨ばかりしょっちゅう降っていますね。
季節感を楽しむ余裕もなく、生活が破壊されるわ、へたをすれば命もないくらい。
豪雨や台風の被害を受けた人たちが、少しでも早く普段通りの生活に戻れることを願います。
秋、10月といえば。
私が片方の耳の聴力を失った時期です。
あの時もちょうど台風が来ていました。
漠然とこれくらいの時期だったとは覚えているんだけど、正直もう何年前のことだったのかわからなくなっちゃってました。
そして最近、何気なくデータを整理していた時にふと目に入った物。
うちのウェブサイトの更新履歴。
突発性難聴を発症したのが、2009年でした。
気が付けばもう10年経ったんですね。
そして、気が付くまで忘れているほど、そのことが何でもなくなっていました。
ずっと前から、それこそ最初から耳が聞こえていなかったんじゃないかと思うほど。
もう両耳が聞こえていた世界のことは覚えていません。
長い時間が過ぎました。
この10年、思い出す物は何もありません。
まったく無価値で無意味で無駄な時間でした。
記憶を振り返ろうとすれば、出てくるのはもっと昔の学生の頃の物ばかり。
努力すればできると、夢に向かって一心不乱にひたすら頑張っていた時間。
無邪気で無知で無敵だった自分。
どこに進んでるのかわからないけれど、がむしゃらに走っているのが楽しかった。
学生らしいなと思います。
バカバカしい。
そんな回顧するなんて、歳を取った証明でしかない。
でも、10年過ぎたと思って、さらに昔を思い出してみたりすると、学生の頃にもどうしても行きつくものですね。
そして、あの時間をそういうふうに見るようになった。
やっぱり長い時間が過ぎました。
そんな中で、今になって改めて見ていて驚いたことがあります。
私が両耳聞こえる状態で音楽作っていた時間って、2年も無かったんですね。
記録上、処女作発表が2008年の2月末で、突発性難聴になったのが、2009年の10月。
実際には曲作りしてる時間がもっと前からあるんだけど、それでもせいぜい2年です。
短いですね。
耳が聞こえなくなってからの時間の方がずっとずっと長くなっていました。
もっと時間があれば、勉強して研究して、色々とはるかにうまくできるようになっていたと思う。
そうなるつもりで、ヘタなりにバカにされながら、今に見てろと思いながら挑戦してきた。
もし、突発性難聴にならなければ、今頃は。
気が済むまで音楽をやって。
作りたい曲を作り切って。
満足してこの活動を終えていたでしょう。
何にもなれず、何もできず、いつまでも地縛霊みたいに不毛な状態で、自然消滅一歩手前で留まり続けることもなかったでしょう。
だけど、私はこの先死ぬまでずっと、この状態でいるしかありません。
この活動は辞められるけど、生きるのを辞めることはできません。
そして耳は治りません。
何がどうしたらこうなるのか知らないけど、世の中って優しくないものですね。
おかげさまで、強くなりました。
もう何があっても悲しいとか悔しいとか残念とか思わなくなりました。
そういうものだって、ありのままに現実を受け入れるだけです。
あれから10年ですか。
節目としては良いタイミングですね。